ISBN:4003240626 文庫 相良 守峯 岩波書店 1958/01 ¥693
もしも人生をやり直せるなら! と誰もが一度は考え、頭に浮かべることではなかろうか? ひょっとすると、この文章を読んでいる人の中に、それを痛切に望んでいる人がいるかもしれない。
もしも、眠ろうとして、部屋の明かりを消したとき、あなたの傍らに悪魔がやってきて、こう言ったとしたら?
「あなたを若返らせてやろう。そして、あなたが望むことすべてを、私がかなえてやろう。そして、あなたが人生に『満足した』と心の底から言った時、あなたの魂を、わたしがいただくことになるのだが…。それでよければ…」。
「頼む、若返らせてくれ! お願いだ!」と、あなたは、言うだろうか?
きっと、あなたは、今まで生きてきた人生を改めて思い返しながら、いや、まてよ。嫌なこともあったし、悲しいこともあった、こうして年も取ってしまったけど、案外、自分の人生って、いい人生だったのではと考え、悪魔と契約を交わすことをためらうのではなかろうか?
いつだって、我々は自分の人生に満足しているものだ。

だが、ここに不屈の男がいた。男の名はファウストと言った。書斎に閉じこもり、若き頃から真理の探究に自分の人生のすべてをかけてきた男。しかし、今や年老い、自らの研究は何の成果もなく、無駄に終わったと苦悩する男。
ファウストは、悪魔メフィストファレスとの契約を躊躇することなく交わし、自らの書斎から旅立つ。
若返ったファウストは、可憐な娘グレートヒェンへの恋に落ち…、そして…。

名作というわりに、読まれていない作品ではなかろうか?
集英社文庫から池内紀氏の名訳で、今や、手軽に読めるいい時代だ。ああ、これが15年ほどはやかったら。

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